2023年3月7日、田中明彦JICA理事長は日越大学の学生、教職員を主たる対象として、「世界と日本:冷戦後の時代(The World and Japan:Post-Cold War Era)」をテーマにJICAチェア特別講義を行いました。日越大学の会場からは59名が参加、またオンラインでは14名が参加しました。講義では冷戦後の日本の経済・政治・安全保障及び JICA の取り組みについて、定量的なデータを示しつつ見解を述べ、日本の対ベトナム政府開発援助(ODA)は他国と比べても最大であることに触れました。質疑応答では、人間の安全保障の重要性について触れ、教育が果たしうる役割、とりわけ日越大学のような高等教育機関が果たしうる役割についても強調しました。
講義後には日越大学の修士課程に在籍する学生4名との懇談会が行われました。修士学生との意見交換では、変化や課題の多い世界情勢においてどのようなマインドセットを大切にしているかという質問に対し、喫緊のニーズに対応することも大切だが、JICA はより長期的な視点で有効な協力を目指すことに大切にしていると回答するなど、JICA理事長としての立場から自身の知見・経験に基づいて幅意見交換を行いました。
JICAでは、2018年より日本の大学と協力し、途上国の将来を担う人材を育成する「JICA開発大学院連携プログラム(JICA Development Studies Program:JICA-DSP)」を実施しています。このプログラムの枠組みの中でJICAは日本の開発経験を学ぶ機会を国外にも広げるため、開発途上国各国のトップクラスの大学等を対象に、「日本研究」の講座設立支援を行うプログラム「JICAチェア」を実施し、欧米とは異なる日本の近代の開発経験と、戦後の援助実施国(ドナー)としての知見を学ぶ機会を提供しています。