修士課程気候変動・開発プログラム(MCCD)を担当している石川由紀先生から、先生の研究分野、日越大学での活動についてお話を伺いました。
–先生の研究分野について教えてください。
気候変動が水圏生物や農業にあたえる影響を研究しています。気候変動による影響は、生物多様性にも非常に大きいと言われています。人間が生存できる安全な活動領域と限界点を示したプラネタリーバウンダリーの概念では、気候変動、生物多様性の損失や窒素やリンなどの循環が、すでに限界を超えたとする報告もあります。私は気候変動により湖沼に生息する生物が受ける影響や、農業などによる人間活動が環境に与える影響などを調べています。ベトナムでは気候変動による適応の一つでもあるのですが、コメ作からより利益の高いフルーツ栽培、または塩水遡上を利用した集約的エビ養殖への転換などが行われています。その際のコメ生産量の変化や、集約的エビ養殖が水質や生態系に与える影響なども調べています。
–日越大学では専門家としてどのような活動をされていますか。
日越大学では、教員として授業や学生の修士論文指導や進路相談、研究活動を主な活動としていますが、専門家として、日本の大学や日越大学の教員と連携を密接に取り、日越大学の運営が軌道に乗っていくためのサポートもしています。
日本の大学では全てがシステム化されており、事務体制も万全ですが、ベトナムの大学では少ない人数で運営していかなければならないので、非常に柔軟な対応を迫られることが多々あります。お互いの文化や感覚の違いなどを大事にしながら、共に発展していける方途を探っていきたいと思っています。
– 日越大学で学びたいと思っている方へメッセージをお願いします。
気候変動・開発プログラムでは、政治、経済、環境、工学など、非常に幅広い分野を扱っています。分野が広いため、日本からは幹事大学である茨城大学だけでなく、国立環境研究所や筑波大学をはじめ他大学からの講師も参加いただき、最先端の動向をお伝えしています。教員は学生一人ひとりのニーズにできるだけ応えようと、個別相談を実施したり、学生からのフィードバックをカリキュラムに取り入れるようにもしています。ベトナム人学生だけでなく、これまでにアジア各国やアフリカからも留学生が気候変動・開発プログラムで学んでおり、国際的な雰囲気の中で学ぶことができます。これまでの専門知識に関わらず学ぶことができるので、関心のある方は、是非一度ご連絡ください。お待ちしています。